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  • 経営難には理由がある!ホテルの経営を立て直す為の方法

ホテルの経営

ホテルの軒数は増加傾向にあります。これに伴い、経営状態が悪化するホテルも生まれています。ホテルの業績改善の為には、視点を切り替える事が必要です。

この記事では、ホテルの経営を改善する為の方法について解説します。

ホテルの経営環境についての一般的な理解

外国人旅行客の急増を見越して、国内のホテル軒数は急増しています。増加割合は年によって差がありますが、ホテル軒数の増加傾向は2012年度頃から一貫して続いています。

特に、2017年度末から2018年度末にかけては、ホテルの軒数は10%を大幅に超える割合で増加していると推測されます。その後の公式なデータは未だありませんが、少なくとも2020年度までは、この傾向は続いていると考えるべきです。

しかし、近年のホテル需要はそこまで伸びていません。2017年と2018年にホテルが提供した一年間の宿泊数を比較してみると、6.3%しか増加していない事が解ります。前3年間の平均でも増加幅は2.9%ほどです。

これらのデータからは、「ホテルへの需要は伸びているが、新規開業ホテルの増加に伴い、経営環境は決して楽ではない」という事が解ります。そして、この認識は、多くのホテル経営者の認識と一致します。

※ホテル軒数のデータは厚生労働省の衛生行政報告より。なお、旅館業法の変更に伴って、2018年度以降はホテル単体での統計はなくなってしまった為、2018年度のホテル軒数は、過去数年間と同水準でホテル以外の宿泊施設の軒数が増減したと仮定して推定。また、宿泊数のデータとしては、本記事では延べ宿泊者数(観光庁の宿泊旅行統計調査報告より)を利用。

ホテルの経営改善に取り組む上で必要となる視点

しかし、ホテルの経営改善に取り組む上では、経営環境をこのように認識するだけでは不十分です。

旅館業との関係

ホテルの競争環境を考える上では、まず、ホテル以外の宿泊施設についても検討すべきです。ホテル以外の宿泊施設から客を奪う事が出来るかもしれませんし、逆に、客を奪われる可能性もあるからです。

まず、宿泊施設の軒数の推移を「旅館とホテルを合算した数字」で確認すると、減少傾向である事が解ります。例えば、2018年度末の軒数を3年前と比べると2%以上も減少している事が解ります。これは、ホテルの増加軒数以上に、旅館の軒数が減少している為です。

このデータからは、旅館とホテルを合わせて考えれば、「宿泊施設の数は減少しているので、宿泊業の経営環境は悪くない」という一面が見えてきます。そして、ホテルの立地によっては、旅館の客を取り込む事は十分に可能でしょう。

簡易宿所との関係

しかし、宿泊施設に簡易宿所(民泊と呼ばれるような宿泊施設の一部も、この分類に含まれる事があります)を加えて検討すると、結論は再度変わります。

近年、簡易宿所は急激に増加しており、同じく2018年度末の宿泊施設の軒数を「簡易宿所を加えた数字」て3年前と比較すると、10%近く増加している事が確認出来ます。

この点を踏まえると、簡易宿所と客を奪い合うような競争に巻き込まれた場合、やはり、「ホテルの経営環境は厳しい」という事になるのです。

外国人客の変動

次に、顧客という視点からの分析として、外国人のデータも紹介しておきましょう。

宿泊客全体が伸び悩む中で、外国人による宿泊数は大幅に伸びています。2018年のホテル宿泊数を3年前と比べると約40%も増加しています。

全体のホテル宿泊数に占める割合は未だ20%ほどですが、外国人が宿泊客の中心になっているホテルに関しては、経営環境はかなり良かったはずです。

長期的な視点

更に、長期的な視点からの分析も紹介しておきましょう。

データを6年前まで遡って比較すると、ホテル軒数が21.6%増加しているのに対し、ホテル宿泊数は30.6%も増加している事が確認出来ます。

すなわち、少し長めのスパンでみると、ホテルの競争環境は改善しているのです。

経営改善に必要な視点

このように、ホテルの経営環境については、様々な見方をする事が出来ます。

実際、ホテルと一言で言っても、立地によって宿泊客が求めるものは大きく異なります。勿論、ホテルのタイプ(リゾートホテル、シティホテル、ビジネスホテルなど)による違いを無視して分析する事も出来ません。

ですから、個別に分析を行わない限りは、ホテルの経営環境については結論は出せない(出すべきではない)のです。

言い方を変えると、今、あるホテルの経営が厳しいのであれば、そのホテルは、厳しい経営環境(フィールド)で戦っている可能性が高いのです。そして、もし、「戦うフィールド」を変える事が出来れば、そのホテルの経営環境を改善させられる可能性があるのです。

ホテルの経営を改善したければ、このような考え方が求められます。この点については、後ほど、再度取り上げます。

経営が悪化しているホテルが抱える2つの問題点

経営状態が悪化しているホテルは、次の2つの問題を抱えています。そして、多くのホテルでは、この2つの問題が複雑に絡み合っています。改善の為には、それを整理・対応する必要があります。

稼働率の低迷

経営悪化しているホテルの多くでは、そのホテルが経営を成り立たせる上で必要となる顧客(宿泊数)が獲得出来ていません。多くのホテル経営者は、「稼働率」といった指標で、この問題を認識しています。

しかし、この「稼働率が低い理由」は、ホテルによって様々です。

ホテル経営者は、「同一地区の他のホテルとの競争に負けている」という理由を想定している事が多いようです。しかし、そのように単純に考えるべきではないケースも多いのです。

冷静に分析してみると、「他の地区から顧客を奪わない限り、満足できる稼働率が達成できない」といったケースも少なくありません。また、「新しく宿泊のニーズ自体を生み出さない限り、満足できる稼働率が達成できない」といったケースすらあります。

そして、目指すべき「稼働率の水準」自体もホテルによって異なります。

利益構造の破綻

適切な稼働率が維持出来たとしても、利益が残らなければ意味がありません。

単純に稼働率を上げたいのであれば、多くの地区では、販売価格を下げ、販促費を上げる事で達成は可能です。

しかし、問題は、それほど簡単ではありません。そのような「利益へのマイナス要素」と、「それによって得られるプラス要素」のバランスをうまく取り、最終的に利益を改善する必要があるのです。しかし、それは容易な事ではありません。

このように問題が複雑である事が、ホテルの経営改善を難しくしています。

ホテルの経営を改善する為の方法

改善の可能性

前半で説明した通り、ホテルの経営環境は見方によって大きく結論が変わります。

この為、ホテルそれぞれの「戦うべきフィールド」を見つける事さえ出来れば、厳しい競争から一歩抜けだし、経営を改善する為の道筋を見つける事は十分に可能です。

しかし、その為には、そのホテルの経営に影響を及ぼしている多くの要素を適切に分析する必要があります。単に「販売価格」「販促費」「稼働率」といった要素だけの分析では不十分なのです。

専門家を用いたホテル経営改善の例

例えば当社がホテル経営の改善に取り組む場合には、まず、そのホテルの置かれた状況を徹底的に分析します。多くのケースでは、財務的なシミュレーションも行います。必要となるデータが不足している場合には、データを集める為の仕組みを構築する所から始める事もあります。

そして、「そのホテルが戦うべきフィールド」を検討し、ホテルの経営層と十分な議論を行います。その上で、目標を実現する為の対策を一緒に考えていきます。

このようなステップを踏む事で、ホテルの経営を着実に改善する事が可能になります。

ホテルの経営を改善する為のアドバイス

多くのホテルが持つ経営計画では、小手先の対策によって、「稼働率などの指標が改善できる」事になっています。そして、経営目標が達成できる事にもなっています。

しかし、「どのフィールドで戦うのか」という事が変わらない限り、現在の経営環境は変わりません。そして、厳しい経営環境下では、目標を達成する事は非常に困難です。「改善が実現出来る」という確証が得られないまま運営を続けているホテル経営者も多い事でしょう。

繰り返しになりますが、狙う所さえ間違えなければ、ホテルの経営環境は決して厳しいものではありません。ホテル経営の難易度が高いのは、その為の分析と対策の難易度が高い為なのです。

本気でホテルの経営を改善したいのであれば、これらの事から目を逸らすべきではありません。

勿論、経営の専門スタッフに恵まれていないホテルの場合には、自ホテルだけで作業を行うのが難しいかもしれません。その場合には、外部の専門家の活用も検討してみて下さい。その価値はこの記事で説明してきた通りですし、着実な改善が見込めます。

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