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  • 売上急減時のマニュアル!売上が減少した時に求められる対応とは

売上が減少した時に行うべき対応

売上が急に減少した時、経営者が無駄に出来る時間はありません。ショックで動けなくなる経営者もいますが、そのような時こそ、経営者の対応能力が問われているのです。

この記事では、「売上が急落した時に、経営者がやらなければならない事」について解説します。

売上の減少を放置すると何がおきるのか

売上減少のタイプ

売上の減少は様々な要因によって発生します。ちょっとした営業のミスや商品企画の失敗が原因で、自社の売り上げが減少してしまう事もあるでしょう。

もし、売上減少の理由が、そのような「自社の失敗が原因である」と明確に解っており、減少前の状態に戻せる自信があるのであれば、この記事の内容を実践する必要はありません。通常の売上改善・回復の為の努力を行って下さい。

しかし、それと同じように扱ってはいけないのが、「外部要因による売上の急減」や「容易には以前の状態に戻せない社内事情の変化による、売上の大幅な下落」です。

ここで言う外部要因とは、「感染症の拡大(パンデミック)」や「金融危機(金融機関の破綻に伴う混乱など)」、「政治的な背景がある環境変化」などです。このような要因で売上の減少が発生している場合、自社の努力だけで問題を早期解決させる事は困難です。

他にも、売上減少に「業界全体の落ち込み(ニーズの変化)」といった原因がある場合や、「自社キーマンの退職」「重要特許やライセンス契約の失効」などの社内事情が関係している場合も、容易には以前の状態に戻す事が出来ないでしょう。

従来とは異なる対策の必要性

売上減少に直面した経営者の中には「しばらく静観すれば、元に戻るだろう」と考える人がいます。しかし、多くのケースにおいて、その考えは甘すぎます。

売上減少の背景にある原因が解消する頃には、業界のかたちが変わってしまっていたり、消費者の生活様式が変わってしまっていたりするケースが少なくありません。ですから、「我慢して耐え抜ければ何とかなる」と考えるべきではないのです。

例えば、感染症の流行は消費者の行動を変えますし、国際的な協業にも影響を与えます。多くのケースではサプライチェーンの再検討などが行われ、新しい競争環境が生まれます。不景気の時期には、多くの取引先が倒産します。このような変化が起きた場合、自社だけが生き残っても、以前と同じような商売を行える状態に戻る訳ではないのです。

また、雇用や所得水準に大きな影響が出るようなイベントが発生した場合には、消費者の行動は変化します。そして、時間が経過しても、以前と同じような消費には戻らない事が一般的です。

勿論、自社の内部事情に変化があった場合においても、同じような事は言えます。会社のかたちを新しい前提に合わせて変えない限り、以前と同じような売上が復活する事はないでしょう。

「従来とは違う変化」が起きたのであれば、その変化を受けて、「これまでとは違うレベルの対策」を実行しなければならないのです。

スピード感のある対策の必要性

売上が減少した状態を放置すると、会社の体力は急激に低下します。そして、そのような状態が続くと、対策の実行すら難しくなっていきます。

これは、財務的な体力だけの問題ではありません。変化を感じるのは難しいかもしれませんが、成長に向けた日々の活動がうまくかみ合わなくなっただけで、会社の競争力は急激に下落していくのです。

ですから、売上の減少が発生した場合、経営者には時間がありません。自社の体力が残っている間に、急いで対策を講じる必要があるのです。大げさではなく、一分一秒も無駄には出来ません。

売上減少時に実行すべき3つの対策

売上が減少した時、経営者は次の3つの対策を実行する必要があります。

事業規模の見直し

対策の1点目は、事業規模の見直しです。

前述の通り、事業の前提が変わるような要因によって売上の減少が発生している場合、その変化は簡単には元に戻りません。そして、その状態を放置すると、会社の体力は低下していきます。

ですから、対象事業の規模を、今後も事業継続出来る規模にまで縮小させる必要があります。

ただし、「売上想定を落とす」といった単純な考え方で作業に取り組むべきではありません。自社の事業分類(数字の集計単位)といった所から見直し、今後も競争力のある事業として再構築する作業を行うべきです。

また、見直し後の事業規模は、過大でも過小でもいけません。過大では体力が持ちませんし、過小では強みを失ってしまいます。分析結果をもとに、ゼロから適切な規模を検討し直す作業が求められます。

コスト構造の修正

対策の2点目は、既存事業のコスト構造の修正です。

事業の前提が変化した場合、「効果的な費用の使い方」も従来とは変化しています。ですから、「費用についての考え方」についても見直す必要があります。

この点については、単純に経費カットを目指そうとされる方が多いのですが、「コスト構造を変化させる」という意識で作業にあたるべきです。

単純なコスト削減を行った場合、一見、採算が改善したように見えるかもしれません。しかし、その裏側で、会社の強みが維持できなくなるような変化が起きているケースが多いのです。

ですから、将来の為に維持すべき経費は削減すべきではありません。その一方、従来は競争力の要であったコストであっても、聖域を作らずに見直すべきです。

新しいチャンスを掴む為の投資

対策の3点目は、新しいチャンスを掴む為の投資です。

売上が急減し、余力がない中での前向きな行動は、多くの経営者が苦手とします。しかし、それが実行できるかどうかで、事業の将来が決まります。

売上減少の原因が「顧客ニーズの変化」や「自社の強みが失われた事」であった場合、状況を放置しても売上回復の為の道筋は見えてきません。こうしたケースにおける「前向きな行動の必要性」については、理解しやすいでしょう。

しかし、それ以外のケースでも、世の中に大きな変化が起きた場合、前述の通り、生活様式が変化したり、企業に求められるものが変化したりします。これまで通りの競争環境がそのまま復活する事を期待はできないのです。

ですから、新しいチャンスを掴む為の行動を少しでも早く開始しなければならないのです。そして、その準備を早く整える事が出来た会社だけが、成長路線に戻る事を許されるのです。

売上減少対策の難しさ

しかし、対策を実行しようとしても、失敗してしまう経営者は少なくありません。その理由を解説します。

経験がない作業

前述の対策を実行する上では、「事業の再編」を行う為に必要とされる知識や経験が求められます。

検討の為には、「経営環境の分析」は勿論のこと、「財務的なシミュレーション」に関する作業も必要です。また、対策の実行にあたっては、「法律的な検討」も欠かす事が出来ません。

特別な対応が必要な訳ですから、求められる知識や経験が特別である事も仕方がないのです。しかし、ほとんどの会社にとって、これらの作業で必要とされる能力は、日常の業務運営で求められる能力とは大きく異なります。

この為、「対策をしなければならない」と決意できた経営者であっても、対策を進められなくなるケースが少なくありません。

経営者に厳しい環境

さらに、対策を実行するにあたっては、経営者を苦しめる要素がいくつもあります。

まず、対策の実行には「スピード感」と「正確性」が求められます。対策が遅れれば、急激に会社の体力は失われていきますし、対策を間違えれば、取り返しのつかない状況にも陥りかねません。日常の業務運営とは違うプレッシャーの中で対策を実行する事が求められるのです。

また、売上が減少した事で、「経営者は冷静さを欠いている」事も忘れてはいけません。自分自身では「冷静さを保っている」つもりであっても、大きく変わった経営環境を前にして、本当に冷静でいられる経営者は皆無に等しいでしょう。

更に、社内が混乱している事も珍しくありません。対策を実行する上では、社内との繊細なコミュニケーションが求められます。

このような環境の中で、難易度が高い対策の検討・実行を進めていかなければならないのです。それがどれほど大変な事であるかは、経営者であればお解りでしょう。

売上減少対策を実行する上でのアドバイス

ここまで理解して頂くと、大手企業が必要性を感じた時、迷わず外部の専門家を入れて対策プロジェクトを立ち上げる理由が理解して頂けるのではないでしょうか。

本来は社内だけで検討出来る内容であっても、「スピード感」や「冷静な分析」の必要性などを踏まえると、外部の視点は不可欠なのです。勿論、「専門知識」が欠けている会社であれば、必要性はさらに高まります。

ですから、外部の専門家の活用に不慣れな会社であっても、売上の急減に直面された場合には、迷わず、このような対策の経験がある専門家に相談される事をお勧めします。

適切な相談相手に心あたりがない場合には、経営相談の窓口をうまく活用して下さい。そのようなケースに対応する為に、当社も含め、多くの専門機関では、外部相談の窓口を開設しています。

最後に、もう一度繰り返しますが、自社の努力で元に戻せる確信があるケース以外では、迷わずに相談をするようにして下さい。売上急減の後、取り返しがつかなくなるケースのほとんどは、相談を受け付けた際に「既に手遅れ」であったケースです。

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